『いきいきすごろく』で健康づくり-認知症を予防しよう!-福島県立修明高等学校 ボランティア愛好会
福島県立修明高校は、福島県中通りの南部、東白川郡棚倉町にある唯一の高校です。 本校と棚倉町は、まちづくりや地域活性化を目的とした包括的な連携を進めるため、 平成 31 年4月に連携協力に関する包括協定を結びました。 この取組みの一環として、棚倉町健康福祉課・高齢者係、棚倉町地域包括支援セン ターと連携し、『公共』と『家庭基礎』の授業で、1学年の全生徒を対象に認知症サポーター養成講座が実施されています。これは令和3年度から始まり、今年度で4年目を迎えます。
今年度、私たちボランティア愛好会の3年生は、認知症サポーター養成講座で学んだことを通して何ができるか、先輩方の『いきいきかるた』の制作活動を引き継いで何ができるか、4月から話し合いを重ねてきました。
愛好会のメンバーで意見を交換する中で、「祖父母が認知症になり、家族が戸惑ってしまった」、「認知症の祖父母の介護で家族が苦労している」などの話題が上がりました。
ここから、認知症について調べていく中で、厚生労働省による『認知症施策推進大綱』(令和元年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議決定)を見つけました。
これを踏まえ、「認知症を予防するためにできることまとめて、わかりやすく伝える取組みを行ってみよう。」という方針を立てました。
そこで、『いきいきかるた』の制作時に連携した棚倉町保健福祉センター健康福祉課・高齢者係の皆さん、棚倉町地域包括支援センターの皆さんと話し合う機会を持ち、「子どもから高齢者まで、幅広い世代に認知症予防について理解を深めてもらい、地域での共生を進めるために、すごろくを作成する」ことに決めました。
すごろくを作成するにあたり、実体験をもとに高齢者や介護・認知症予防について知り、学ぶ機会を持ちたいと考え、棚倉町健康福祉課・高齢者係、棚倉町地域包括支援センター、亀楽の会と連携した以下の5つの活動を行いました。
1 高齢者疑似体験
棚倉町地域包括支援センターの担当者の方を講師にお迎えして、本校で高齢者疑似体験を行いました。
この体験では、事前に高齢者の視力・聴力、手足の動きなどを予想して、それを愛好会全体で共有してから体験に臨みました。高齢者の方々がどのような状況で生活しているか、予想・共有してから体験を実施したことで、身体的な大変さをより実感することができました。
この体験で感じた不便さ、困りごとなどをさらに共有した上で、高齢者買い物支援ツアーボランティアに臨みました。
2 高齢者買い物支援ツアーボランティア
自動車を運転することができず、買い物へ自由にいけない高齢者の方々を支援する買い物支援ツアーで、買い物の付添い、荷物の運搬等のボランティア活動を行いました。
3 『いきいきくらぶ』でのボランティア
棚倉町保健福祉センターで定期的に行われている介護予防教室『いきいきくらぶ』でのボランティア活動を行いました。お茶を飲みながらお話しをしたり、一緒に介護予防の体操を行ったりしました。
4 『たなちゃんカフェ』ボランティア
『たなちゃんカフェ』は、棚倉町が行っている認知症カフェです。棚倉町保健福祉センターで行われた認知症予防健康体操と茶話会に参加しました。
5 亀楽の会の皆さんとの交流会
1~4の活動後、『いきいきかるた』を一緒に作成した亀楽の会の皆さんとの交流の機会を持ちました。
『いきいきかるた』を一緒に楽しんだ後、付箋に「介護をしてよかったこと・大変だったこと」、「介護予防になること」を書き出し、認知症介護や予防についての意見を共有しました。
これらの活動を経て、すごろくの作成に取り掛かりました。
1 すごろくのマス目の文言を検討
2 マス目の文言に合うイラストの作成
3 すごろく全体のデザインについて検討
4 すごろくを実際にやってみて改良
すごろくを通して健康づくりにも考え、子どもから高齢者までがいきいきと暮らせる棚倉町にしたいという思いも込めて、このすごろくの名称を『いきいきすごろく』に決定しました。
このような過程を経て、『いきいきすごろく』が完成しました。
今後、私たちボランティア愛好会のメンバーが、棚倉町内の高齢者介護施設、小中学校などへ配布し、健康づくりや認知症予防への啓発活動を進めていきたいと考えています。
今回の『いきいきすごろく』の制作を通して、印象に残ったことがあります。それは、亀楽の会の皆さんとの交流の中での会長さんのことばです。「棚倉町内の身近なところに高校があっても、高校生の皆さんとお話しする機会はこれまでありませんでした。『いきいきかるた』の作成をきっかけに、高校生の皆さんと交流しあえる関係を築くことができました。今回も一緒に活動できることを、とてもうれしく思っています。」
すごろく作成の活動を通して、地域の高齢者や認知症の方々、そしてその方々を介護している家族の気持ちや困りごとなどについて、「自分事」として考えることができるようになりました。
修明高校ボランティア愛好会は、東白川郡唯一の高校として、「地域の中で私たち高校生ができることは何か」ということを第一に考え、これからも積極的に活動していきます。